骨粗しょう症
骨の健康を保つために、今できることを大切にしましょう
骨は、常に新しい骨を作る「骨形成」と、古い骨を分解する「骨吸収」を繰り返しています。このバランスが崩れると、骨の密度が低下し、もろくなってしまいます。
これが骨粗しょう症です。
特に女性に多く見られる病気で、健康な状態でも40歳ごろから徐々に骨量が減少し、50歳前後の閉経期を迎えると、その減少が加速します。60代では約半数、70歳以上では約7割の方が骨粗しょう症になるといわれています。
男性にも見られる病気ですが、女性に比べると発症する割合は少ないものの、注意が必要です。

当院の取り組み
骨粗しょう症リエゾンチームでサポートを行います
当院では、骨粗しょう症に対する専門的な診療体制として「骨粗しょう症リエゾンチーム」を設けています。骨粗しょう症リエゾンチームとは、医師・看護師・理学療法士・薬剤師・管理栄養士などの多職種が連携し、骨折の予防と再発防止を目的に、患者さま一人ひとりに合わせた継続的なケアを提供する体制です。
チームは、月に1回カンファレンスを実施し、栄養状態、服薬状況、術後のリハビリ経過、生活習慣などを多角的に検討します。これにより、適切な治療介入が行えているかを確認し、必要に応じて方針を見直しています。
単なる骨密度の管理にとどまらず、再骨折を防ぐための生活支援や指導にも力を入れ、患者さまの骨の健康を多職種でサポートしています。

症状について
骨粗しょう症の方は、わずかな衝撃でも骨折することがあります。
例えば、つまずいて手をついた際に手首を骨折したり、転倒してふとももの付け根を痛めたり、肩から落ちて腕を骨折することがあります。
また、重いものを持ち上げた際や、くしゃみをしただけで背骨に負担がかかり、骨折することもあります。
気づかないうちに骨折していた、いわゆる「いつのまにか骨折」が起こることもあるため、自分の骨の状態を知っておくことが大切です。
原因について
骨は常に新しく生まれ変わっています。破骨細胞が古い骨を分解し、その後、骨芽細胞が新しい骨を作ることで骨の構造が維持されます。
この仕組みは「骨リモデリング」と呼ばれ、骨の健康を保つために重要な働きをしています。
しかし、このバランスが崩れると骨粗しょう症の原因となります。新しい骨の形成が追いつかず、古い骨の分解が進むことで骨密度が低下し、骨の内部がもろくなってしまいます。近年では、高齢者だけでなく若い女性の骨粗しょう症も問題視されています。
検査方法について
骨粗しょう症の診断には、骨密度を測定する検査が広く行われています。
骨密度を調べる方法には、次のようなものがあります。
DXA(デキサ)法 | 2つの異なるエネルギーの微量のX線を利用し、その透過度をコンピューターで解析し、測定するものです。主に大腿骨近位部や腰椎の骨密度を正確に測定します(全身に用いる場合もあります)。 |
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超音波法 | かかとやすねの骨に超音波を当てて骨密度を測定する方法です。 X線を使用しないため、妊娠中の方でも受けることができます。 |
MD(エムディ)法 | X線により、手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時に撮影し、骨とアルミニウムの濃度の比較により測定するものです。 |
当院では、骨密度測定装置を用いてDXA法による前腕の骨密度検査を行っています。これに加えて、圧迫骨折の有無を調べるレントゲン検査やMRI検査、骨の代謝状況を確認するための血液検査や尿検査での骨代謝マーカー測定を行うこともあります。
治療方法について
骨粗しょう症は「骨の生活習慣病」とも呼ばれ、生活習慣の改善と薬物療法の併用が大切です。
食習慣では、カルシウムやビタミンD、ビタミンK、たんぱく質を積極的に取り、乳製品や野菜、肉をバランスよく摂ることが重要です。コラーゲンの劣化を防ぐために、ビタミンB6、B12、葉酸も意識的に摂取し、糖分の摂取を控えめにしましょう。
また、アルコールやカフェインの過剰摂取を避け、喫煙者は禁煙を検討してください。
運動習慣も骨を強化するために必要で、階段を使ったり軽いウォーキングをしたりすることが有効です。屋外での日光浴もビタミンDの合成に役立ちます。しかし、進行した骨粗しょう症の方は無理な運動を避け、必ず医師に相談してから行動するようにしましょう。